いらない土地を相続放棄することはできる?
いらない土地の相続が発生した場合に、相続を放棄できるかといったご質問をいただくことがあります。
当記事では、いらない土地を相続する場合の対処法について詳しく解説をしていきます。
土地の相続放棄は可能か
土地の管理が難しいなどの理由で、土地の相続のみを放棄し、その他の債権のみを相続したいと考える方は多くいらっしゃいますが、土地のみを相続放棄することは不可能となっています。
そのため、すべての財産を相続放棄することによって、土地のみならずその他の債権などの相続についても諦める必要があります。
しかしながら、その土地上に建物がなく、ある程度売れる可能性を残した土地である場合には、相続をした後に売却を検討したほうがよいこともあります。
相続放棄をした場合でも注意すべき点
もっとも、相続放棄をしたからといってそれでおしまいということではありません。
相続を放棄するとその他の相続人に放棄した旨を伝えなければならず、次の相続人が相続財産の管理を始めるまでは、相続放棄をしたものが管理を継続しなければなりません。
ここでもし法定相続人全員が相続放棄をした場合には、家庭裁判所に相続財産管理人専任の申し立てを行い、相続財産の管理と処分をお願いすることができます。
この申し立てを行う際には、事前に数10万円から100万円ほどの予納金を支払わなければなりません。
最終的に残余した部分については返還されます。
相続財産管理人は、家庭裁判所の許可を得ることで、管理している不動産の売却をすることが可能です。
しかしながら、買い手がなかなかつかないような不動産に関しては、最終的に国が受け入れて、国庫に引き継がれます。
売却が完了するか、国庫に引き継がれた段階で、相続財産管理人は役割を終えます。
2023年4月以降に施行される法改正
上記までの解説は改正される前の民法の話となっており、適用されるのは2023年の3月末日までとなっています。
4月以降に関しては、改正民法が適用されます。
改正された民法では、相続放棄をした人々への管理権の負担がかなり軽くなっています。
改正民法940条では、相続放棄をしたものが相続財産を現に占有している場合という要件が追加されました。
これまでは、相続財産となる土地からは遠方に住んでいた相続人が相続放棄をした場合であっても、管理義務を求められていたため、大きな負担となっていました。
しかしながら、この要件が追加されたことにより、実際にその土地を占有していない場合には、管理義務が発生しません。
もっとも、管理義務は発生しないことになりましたが、保存義務は依然として残ります。
保存義務は、相続財産の価値を下げるような行為をしないだけで足りるものであるため、積極的に管理をしなければいけない管理義務と比較すると、かなり負担が小さくなっているといえるでしょう。
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