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面会交流権の決め方|話し合いのポイントや裁判所での手続など

離婚後、子どもと離れて暮らす親には「面会交流権」という、子どもと交流する権利が法律で認められています。しかし実施頻度や交流場所などの詳細までは法律で規定されておらず、当事者間で話し合って決めていかなくてはなりません。揉めてしまってなかなか決められないときには裁判所も活用することになります。

 

このように面会交流権の決め方にもいくつかパターンがあります。当記事ではこの決め方に着目して詳しく解説していきます。

面会交流権とは

面会交流権とは、離婚や別居後、子どもを監護していない親が子どもと定期的に会う権利をいいます。ただしこれは親のための権利ではありません。重要なのは子どもの福祉を最優先することであり、離婚や別居に伴い子どもが負う精神的負担を少しでも軽減し、安心して暮らせるようにすることが主目的とされています。

離婚前にしっかり話し合っておくことが大事

面会交流に関するルールを離婚時に定めておかなくても違法ではありません。そして離婚後に具体的なルールを定めることも可能です。

 

ただ、トラブルを避けるため、面会交流を確実に実施するためには、離婚前にしっかりと話し合っておくべきです。

 

離婚後に再び会って面会交流について話し合うことにストレスを感じるケースもありますし、一方が話し合いに応じずなかなか子どもに会えなくなるリスクもあります。

 

これに対し離婚が成立する前だと比較的話し合いも進めやすいです。特に子どもとの関係について意見が合いそうにないなら、事前の話し合いを心掛けてください。

面会交流権の決め方

面会交流権の決め方には、大きく分けて以下の3つがあります。

 

  • 協議:当事者同士の話し合いで決める方法。もっとも柔軟に対応できるが、合意に至らない場合もある。
  • 調停:家庭裁判所の調停委員が間に入り合意形成を助ける方法。法的拘束力はなく強制的に結果を出すことはできないが、法的な視点を交えた建設的な話し合いができるようになる。
  • 審判:調停で合意に至らなかったとき、家庭裁判所が審判で面会交流の内容を決定する。審判には法的拘束力がある。

親同士の協議が基本

通常は親同士の「協議」によって面会交流権の内容を決めていきます。

 

協議は公的な手続でもありませんし、純粋に夫婦・元夫婦でのみ条件等を決めていくことができますので、柔軟性が高いです。いつでも自由な形式で協議を行うことができ、方向性が揃っているのならスピーディに話し合いを終わらせることができるでしょう。

 

その反面、感情的になってしまいやすいという難点があります。

協議が難しいときは調停や審判

協議で決するのが難しいときは裁判所に申し立てて「調停」を始めましょう。

 

調停では家庭裁判所で選ばれた調停委員と呼ばれる人物が間に入り、話し合いを進めてくれます。別室でそれぞれから話を聞き、条件のすり合わせなどを手助けしながら合意形成を助けてくれます。

 

第三者が間に入ることによって感情的に反発してしまうことも避けやすくなります。時間や手間がかかるという難点はありますが、協議で無理な事案でも解決できることが多いです。

 

なお、調停で合意に至らなければ「審判」へと移行し、それまでに提供された情報をもとに裁判官が結論を出します。その結果に納得できなければ不服申し立てを行うことも可能ですが、最終的には裁判所の判断によって面会交流権の内容が定まります。

調停や審判が行われる場合の調査

調停が行われる場合、話し合いがスムーズに行われるよう、家庭裁判所による調査が実施されます。また、試行的面会交流が実施されるケースもあります。

 

このときの調査は「調査官調査」とも呼ばれます。心理学や教育学、社会学などさまざまな知見を活用して、面会交流実施による子どもへの影響などを調べていくのです。その過程では子どもの意見を聴くこともあります。

 

試行的面会交流では、子どもと非監護親の交流状況が観察され、子どもがどのように親に接しているのか、どのような態度を取るのかが見られます。その際に上手くコミュニケーションが取れなければ、審判において、面会交流の実施について否定的な結果になる可能性が高まるでしょう。

決めておく事項(頻度や場所など)

面会交流権の内容は、次のように具体的に決めていきます。条件があいまいだと後々トラブルが起こりやすいため、詳細まで決めておくことが大事です。

 

  • (頻度)月1回、2週間に1回、週1回など。また、長期休暇中の面会についても話し合っておくこと。
  • (交流の方法)直接面会、電話、手紙、オンラインビデオ通話など。また、監護親やその他第三者の立ち会いを必要とするかどうかについても決めておくことができる。
  • (場所)自宅、公園、ファミレスなど。連れ去りや虐待の心配がある場合は非監護親の自宅など周囲から見えない場所での実施は避けること。
  • (交流の時間)数時間、半日、1泊など。その際は子どもの負担についても考慮すること。
  • (費用の負担)子どもの食費や交通費は非監護親の負担とするなど。

面会交流の内容を決めるときのポイント

面会交流権について話し合うときは、非監護親や監護親の感情に左右されることなく、「子どもにとってどのような形で面会交流を実施するのが最適か」を考えなくてはなりません。

 

例えば次のような点に意識してください。

 

  • 子どもの年齢
    乳幼児、未就学児、小学生、中学生、高校生など、子どもの年齢や成長フェーズに合わせた適切な方法を検討する。
  • 子どもの意思
    子どもが自分の意思をはっきりと伝えられる年齢にあるなら、子どもの意思も尊重することが重要。
  • 過去の経緯
    過去にDV・虐待があったときなどには子どもの安全を第一に考え、面会交流を実施しないことも視野に監護親は交渉を進める。

 

また法律の問題が絡むことですし、弁護士などの専門家を頼ることも前向きに検討しましょう。

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