借金のある相続に注意!相続放棄の効力や手続きの流れ・必要書類を解説
借金などの負債が残っている場合、亡くなった方の配偶者や子どもなどの相続人が弁済の義務を引き継ぐこととなります。しかし「相続放棄」を選択することで回避することは可能で、相続にリスクがある方にとって同制度は重要な役割を担っています。
相続放棄を行うことでどうなるのか、そしてどのような手続きが必要なのか、必要書類についてもここで紹介していますのでぜひ参考にしていただければと思います。
借金を残して亡くなった方がいるときの相続
亡くなった方の所有していた財産、権利や義務は、基本的にすべてが相続の対象です。借金が完済できていないときは、残債の返済義務についても相続の対象となり、相続人が引き継ぐこととなります。
相続放棄により返済の必要はなくなる
相続の効力は自動的に生じます。亡くなった方と一定の血縁関係にある方は、気付いたときには相続人となり、遺産の所有者となるのです。
しかし法律は相続を受け入れない選択肢も用意しており、「相続放棄」を行うことによって相続の権利を捨てることもできます。相続が経済的にプラスの効果をもたらすのであれば選択する必要はありませんが、多額の借金が残っているなど特別の事情があるときは相続放棄について検討してみましょう。
なお、相続放棄で特定の財産、たとえば借金だけを放棄することはできません。
限定承認という選択肢もある
借金等の財産問題に悩んでいるのなら、相続放棄のほかに、「限定承認」という制度も検討してみましょう。
限定承認は、負債に関する負担を一定限度に抑えつつも相続人としての立場を残すことができる制度で、次の特徴を持ちます。
《限定承認のメリット》
- 相続人が返済すべき借金の範囲を、相続したプラスの財産の範囲に限定できる
- 予想外の借金が出てきても、相続財産以上の返済義務は負わない
- 相続人自身の預貯金等から借金を返済すれば、相続財産を手元に置いておける
- 借金の清算後残った財産については相続人として受け取れる
《限定承認のデメリット》
- 清算の手続きに対応しなければならず、手間と時間がかかる
- 限定承認をすることに対して相続人の全員が同意しないと利用できない
- 清算が終了するまで財産を管理しないといけない
手続き上の負担も大きいため、相続放棄とも比較検討してご自身の状況に合った選択をしましょう。
相続放棄が完了するまでの手順
相続放棄は、相続人の意思のみで即座に効力が得られるものではありません。裁判所で運用されている公的な制度ですので、書類の提出などが必要です。
次の流れに沿って手続きを進めていきましょう。
- 各遺産の価格を調べる
- 提出書類を収集・作成する
- 家庭裁判所へ申述書を提出
- 相続放棄照会書への対応
- 相続放棄の申述の受理
各手順を以下で解説していきます。
手順1.各遺産の価格を調べる
相続によるリスクは、借金の有無のみでは判断できません。それ以上の資産を相続できるなら放棄する必要性はなくなりますし、反対に多くの資産が残っていてもより金額が大きな債務が残っているなら放棄の必要性が高くなるでしょう。
この判断を的確に行うためにも、まずは遺産を調査し、どんな財産が残されているのかを明らかにするとともに、各財産の価格も調べる必要があります。
手順2.提出書類を収集・作成する
「相続放棄の申述書」が手続きには必須です。裁判所HP等で様式を取得できますので、必要事項を記入して完成させましょう。
以下の添付書類についても用意が必要です。
- 3ヶ月以内に発行した申述人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
- 被相続人の、死亡の記載がある戸籍・除籍謄本(戸籍全部事項証明書)、改製原戸籍謄本
- 被相続人の、「戸籍の附票」または「住民票の除票」
さらに、被相続人から見た申述人の立場に応じて次の追加資料も発生します。
子 (第1順位相続人) | 申述人が代襲相続人(孫やひ孫)の場合、本来の相続人(子)の死亡が記載されてある戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) |
|---|---|
親 (第2順位相続人) | 第1順位の相続人が死亡している場合、同人の出生~死亡までの全戸籍・除籍謄本(戸籍全部事項証明書)、改製原戸籍謄本 |
兄弟姉妹 (第3順位相続人) | ・第1順位相続人および第2順位相続人についての、出生~死亡までの全戸籍・除籍謄本(戸籍全部事項証明書)、改製原戸籍謄本 ・申述人が代襲相続人(甥または姪)の場合、本来の相続人(兄弟姉妹)の死亡が記載されてある戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) |
配偶者 | なし |
手順3.家庭裁判所へ申述書を提出
申述書および添付書類が準備できれば、家庭裁判所へ提出します。
提出先は、被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所です。
「自分が相続人であることを知ってから3ヶ月以内」が手続きの期限ですので、それまでに遺産の調査などを行い、相続放棄すべきかどうかの検討も済ませておきましょう。
手順4.相続放棄照会書への対応
申述書を提出するだけで放棄できたことにはなりません。
後日、家庭裁判所から「相続放棄照会書」が届くためその文書に従いさらに対応を進めましょう。
同文書には、相続放棄の理由や相続人になったことを知ったのがいつか、相続開始以降遺産を処分したり借金を返済したりしていないか、などの質問が記載されています。もし、遺産を処分したり自分のものにしようとしたりすると放棄は認められません。そのため放棄を認めても問題ない人物かどうかを確認するための質問が行われます。
手順5.相続放棄の申述の受理
家庭裁判所とのやり取りも経て問題がなければ、相続放棄の申述が受理されます。
相続人ではなかったこととなり、相続放棄申述受理通知書が家庭裁判所から送られてきます。
※この通知書は再発行されないため大切に保管。これとは別に相続放棄申述受理証明書の発行請求もできるため、相続人ではないことを証明する場面ではこちらの証明書を利用すると良い。
なお、相続人ではなくなったことについて債権者は認識できませんので、支払いを求める文書や連絡が届くようであれば早めに証明書を提示して支払い義務がないことを主張しましょう。
相続放棄が受理されたあとの借金はどうなる?
相続放棄の手続きが完了すると、遺産の一部である借金についての責任もなくなります。
ただ、相続放棄は各人が独立して行うものであり、相続人の1人が放棄を行ってもほかの方まで放棄をしたことにはなりません。ほかの親族の方が不意打ち的に借金を引き継ぐおそれもありますので、相続放棄に関して情報共有をしておきましょう。
なお、その借金に関して連帯保証人が設定されているときはその保証人が請求を受けることになります。
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|---|---|
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| 連絡先 | TEL:04-2929-9100 |
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| 定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日も対応可能です) |
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