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間接強制の申し立てができるケース~債務の種類や認められる要件とは?~

間接強制は、債務者が義務を履行しない場合に、制裁金の支払いを命じて債務の履行を促す強制執行の一形態です。

この記事では、間接強制の申し立てができるケースや認められる要件について詳しく解説します。

間接強制とは何か

間接強制は、債務者に対して心理的圧力をかけることで債務の履行を促す強制執行の手法です。

民事執行法にて次のように規定されており、裁判所が債務者に対し、一定期間内に債務を履行しない場合には金銭を支払うよう命じます。

 

(間接強制)
第百七十二条 作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。

引用:e-Gov法令検索 民事執行法第172条第1

 

この方法は、直接的に債務の内容を実現するものではなく、債務者の任意の履行を促すことを目的としています。

そのため、「債務者が従わない場合は別の手段も検討する必要がある」という点には注意が必要です。

間接強制の申し立てができるケース

間接強制の仕組みが利用できるのは、「子どもの引き渡しを求めるとき」や「養育費等の金銭債権の支払いを求めるとき」、そしてほかの強制執行の方法では解決できない場合などです。

 

申し立てが可能となるのはどのような状況か、具体的に見ていきましょう。

子どもの引き渡しを求めるとき

「離婚後の親権者変更に伴う子どもの引き渡し」「一方の親による不当な子どもの留置・奪取」などの場面で申し立てを行い、その履行を確保するために間接強制を命じることがあります。

 

ただ、間接強制を実施しても相手方が子どもを引き渡す見込みがあると認められないケースでは、間接強制ではなく直接的な強制執行の申し立ても可能となります。子どもに危険が及ぶため直ちに強制執行を行う必要があるケースでも同様で、執行官が直接出向いて子どもの引き渡しを求めます。

養育費等の金銭債権の支払いを求めるとき

養育費等の金銭債権の支払いを求めるときにも間接強制の申し立てが可能です。

 

対象となる金銭債権の種類は条文上列挙されており、以下の義務に係る定期金債権が挙げられています。

 

  • 夫婦間の協力および扶助の義務
  • 婚姻から生じる費用の分担義務
  • 子の監護に関する義務
  • 扶養の義務

 

よって、たとえば離婚時に非親権者から親権者に対して養育費の支払い義務を定めており、それを調停調書等の形で取得しているのであれば、支払いが滞ったときに間接強制の申し立てが可能となります。

※義務者に支払能力がない場合、間接強制が認められないこともある。

その他の強制執行ができないとき

作為または不作為を目的とする債務であって、ほかの強制執行方法が適用できないケースでも、間接強制の仕組みが利用できます。

 

たとえば以下のような場面です。

 

  • 不作為義務の履行
    ・・・競業避止義務など直接的な強制執行ができない性質の義務について、間接強制によって債務者に心理的圧力をかけ、義務の履行を促す。
  • 特定物の引き渡し
    ・・・代替性のない特定物(美術品や家族の思い出の品、など)の引き渡しを求める場合はほかの執行方法では適切に対応できないことがあるため、間接強制により履行を促す。
  • 建物の明け渡し
    ・・・賃貸物件の明け渡しなど債務者自身が行動を起こす必要がある場合にも間接強制が有効。
  • 非親権者との面会交流の実施
    ・・・代替がきかないため、監護親に対して制裁金を課すことで実施を促す。

間接強制を認めてもらうための要件

間接強制を認めてもらうためには「債務名義」が前提として必要です。その存在が強制執行を行うための法的根拠となります。

 

《 債務名義の例 》

 

  • 判決正本・・・確定判決や仮執行宣言付判決を受けて作成される
  • 和解調書正本・・・訴訟上の和解等があったときに作成される
  • 調停調書・・・裁判所での調停が調ったときに作成される
  • 審判調書・・・裁判官による審判が確定したときに作成される

 

つまり、単に当事者間で契約書を作成しているだけでは即座に間接強制を求めることはできないのです。

契約書などの根拠をもとに裁判所の手続きを行い、公的にその債権債務について認められていれば、間接強制が可能となります。

※債務名義がない場合、たとえば面会交流に係る間接強制を求めるのであれば、まず面会交流調停を家庭裁判所に申し立てて債務名義を取得する必要がある。そのうえで間接強制の手続きを行う。

 

債務名義があるなら、「債務名義を作成した裁判所」へ申し立てを行います。一般的な必要書類次のとおりです。

※東京地裁の例

 

  • 申立書
  • 申立手数料(債務名義1通あたり収入印紙2,000円)
  • 予納郵券
    • 債務者用:1,099円分を2組
    • 債権者決定正本送付用:1,099円分
  • 執行文付債務名義(原本と写し)
  • 債務名義の送達証明書(原本と写し)
  • 当事者目録(当事者数+1部)
  • 間接強制制裁金の計算根拠
  • 委任状(代理人を立てる場合に必要)

 

申し立てをした後は、債務者に対する書面尋問が行われます。これは債務者に意見陳述の機会を与える手続きであり、たとえば「すでに義務がなくなっている」「経済的に困窮していて支払い能力がない」などの意見が提出されることがあります。
このような書面が提出されることにより、申立人に対し、かかる書面への反論等が求められるケースもあります。

 

なお、間接強制金の金額に関しては、債務の性質や不履行により債権者を受ける不利益の程度、債務者の資力などを考慮して裁判所が決定します。

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