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相続財産になるもの・ならないものの例を紹介!

亡くなった方(以下「被相続人」という。)が生前持っていた財産は、基本的に相続財産として相続人らが取得することになります。

しかしあらゆる財産が相続財産になるわけではなく、相続ができるものには限りがあります。
すべての財産が取得できると考えているとその後本来の取得者との間で揉める可能性もありますので、その区別ができる必要があります。

 

当記事で「相続財産になるもの」「相続財産にならないもの」を分けてその代表例を紹介していきますので、イメージを掴んでいただければと思います。

相続財産になるものの例

相続財産になる代表的な財産の例を以下に示します。多くの方が持っているもの、価額が大きいものなどを取り上げていきます。

土地

不動産の1種である「土地」は相続財産になります。

 

他の財産に比べて1件あたりの価額が大きい傾向にあり、その点で特色ある財産ともいえます。

そのため遺産分割にあたって相続人間で利益のバランスを保つことが難しく、土地をめぐってトラブルが起こるケースもあります。

 

自宅として使う土地である「宅地」や、土地を使う権利である「借地権」など、土地にもいろいろな種類があります。いくつか土地の種類を下表に示します。

 

土地の種類

説明

宅地

自宅を建てるなど、人が住むために使う土地。

小規模宅地等の特例により、評価額を最大80%減額して相続税の計算をすることもできる。

借地権

土地を借りる権利である借地権も相続の対象。

被相続人が土地を自ら所有していなかったとしても、借りた土地がある場合、その借地権を相続することができる。

ただし相続人以外にその権利を譲渡するときは地主の承諾が必要。

田畑(農地)

自宅用の土地以外の、田や畑などの農地についても相続の対象になる。

ただし農業委員会への届出が必要。

その後売却をするときなどにも、宅地にはない手続が必要。

山林

山林も相続の対象になる財産。

その他の土地に比べて維持管理にかかる手間が大きい。

木材の売却やキャンプ場設営などに活用ができるが、所有者が不動産活用をするのが難しいときは業者に貸し出すなどの活用法も検討する。

 

建物

「建物」も不動産の1種です。

 

自宅として使う「居宅」が代表例ですが、他にもさまざまな種類があります。

 

建物の種類

説明

居宅

居住の用に供される建物。

店舗

商品を陳列して販売する店(洋服店など)、食事を提供する店(飲食店など)、技術を提供する店(美容院など)等。

共同住宅

1棟の内部が複数の区画に仕切られ、各世帯が独立して生活ができる建物。アパートやマンションなど。

事務所

個人や法人などの営業活動に供される建物。

工場

機械や設備を備え、物品を製造・加工するための建物。

倉庫

物品の保管や収納の用に供する建物。

診療所

医師や歯科医師が医業を営む比較的規模の小さな建物。

物置

雑貨等を収納する規模の小さな建物。

車庫

自動車等の車両を格納する建物。

 

有価証券

「有価証券」も相続財産になります。

 

被相続人が投資をしていた場合、あるいは会社を経営していた場合には、有価証券の1種である「株式」が相続財産に含まれていることがありますので、よく遺産調査を行っておく必要があります。

 

他に、「公債」や「社債」なども相続財産となり得る有価証券です。

 

有価証券の種類

説明

株式

株式は、均等に細分化された株式会社の社員たる地位のこと。株式を表章する証券である株券が発行されているケースもある。

公債

「国債」と「地方債」がある。

国債:資金調達のため、国が発行する債券

地方債:資金調達のため、地方共同団体が発行する債券

社債

会社のする資金調達で発行される債権。

 

被相続人が株式投資を行っていた場合、上場株式を所有していたと思われます。
この場合、市場で取引されていますので、価額評価も比較的容易です。

相続後は名義変更をするため、取引のあった証券会社を特定して連絡を取りましょう。

 

一方、被相続人が会社経営者であった場合、非上場株式を所有していたと思われます。
市場で取引されておらず、価額についても相場となる値がありません。専門家に相談して相続税の計算をしてもらいましょう。

また、相続後は名義変更をするため、当該株式会社に連絡して株主名簿の書き換えをしてもらいましょう。

現金

「現金」も相続財産になります。

 

被相続人の財布に入っていた現金、金庫に入れていた現金など、すべての現金は相続対象です。いわゆる「タンス預金」のような、簡単には見つからない場所に現金が隠されていることもありますので、被相続人の自宅をくまなく探すようにしましょう。

預金

銀行等に預け入れていた「預金」も相続財産になります。

 

預金の種類

説明

普通預金

普通預金は、自由に入金・出金ができる預金のこと。

多くの方が持つ一般的な預金の形態。給与振込や引き落としに利用されることも多い。

定期預金

定期預金は、期間を指定して資金を預け入れる預金のこと。

毎月積み立てを行い、預金額が一定額を超えると定期預金に振り替える「積立定期預金」。一定額以上の預け入れを条件に金利優遇が受けられる「大口定期預金」などの定期預金もある。

当座預金

当座預金は、手形や小切手を振り出すのに使う預金のこと。

 

家庭用財産

自宅にある家具や家電、自動車のほか、衣服など、ちょっとした物についても相続財産にあたります。

 

これらは「家庭用財産」とも呼ばれます。
後になって自宅から貴金属や骨とう品などが見つかることもありますが、遺産分割や相続税の計算に関してトラブルが起こらないよう、相続開始後にしっかりと捜索をしておきましょう。

 

家庭用財産の種類

説明

家具

ソファーやベッド、タンス、デスク、チェア、シェルフなど。

家電

テレビや洗濯機、エアコン、冷蔵庫、パソコン、タブレットなど。

衣服

洋服や着物、バッグ、シューズなど。

自動車

自動車は、中古車市場における価格相場や査定額等を使って相続税評価とすることが多い。

貴金属

ダイヤの指輪やパールのネックレスなど。

 

債務

相続財産には、上に挙げたような積極財産以外に、債務などの消極財産も含まれます。

 

例えば借金が残っている場合、残債務も考慮して相続すべきかどうかの判断を下す必要があります。
その他チェックすべきポイントは、「住宅ローン」「クレジットカードの未決済分」「未払いの税金や家賃」「損害賠償金」などです。

 

積極財産より消極財産の方が大きい場合でも、相続放棄をすることで債務等の相続リスクを回避できます。

相続財産にならないものの例

被相続人に由来する財産であっても、相続財産に含まれないものがあります。以下にその例を示します。

被相続人の一身専属権

被相続人の“一身に専属したもの”は、相続の対象から外れます。
これは「一身専属権」とも呼ばれる権利のことで、特定の個人であるからこそ意味のある地位などが該当します。

 

例えば被相続人が持っていた従業員としての地位、親権、年金受給権、生活保護受給権などは相続人に承継しません。

生命保険金

被相続人が亡くなったことをきっかけに、生命保険金が保険会社から支払われることがあります。

 

この生命保険金については、保険会社との契約で特定の人物が受給権を得ることになります。

そのため相続財産に含まれて相続人が自動的に取得できるような金銭ではありません。

 

契約内容次第では、結果的に相続人の1人が取得することもあるかもしれませんが、相続人以外に受給者が設定されているときは、一切の保険金を相続人は受け取れません。

 

ただし、被相続人が生前にその保険料を納めていたときには、被相続人の財産が保険金として形を変えたとも考えられます。

このような考えに基づき、一定の場合には生命保険金は相続税の対象になります。

死亡退職金

死亡退職金についても、前項の生命保険金と同様に考えることができます。

 

受給権者固有の権利であり、相続財産として遺産分割の対象になる財産ではありません。純粋な相続財産ではないものの、相続税の計算に含まれます。

 

なお死亡退職金は亡くなった従業員に対して使用者たる会社が支払う退職金のことです。

名称がどうであれ、この意味合いを持つ金銭が支給されるときは、ここでいう死亡退職金として扱われます。

遺族給付

法令に基づき遺族に給付される「遺族給付」についても相続財産にはなりません。

 

遺族年金、遺族扶助料などの遺族給付は、“特定の遺族”に給付されるものであり、相続財産と同等に扱うことができません。

家賃収入

所有する不動産は、自ら使用するだけでなく、これを他人に貸してその家賃収入を得るという活用方法もあります。

 

こうした活用をしている賃貸物件が相続財産に含まれている場合、そこから生じる家賃収入の取り扱いに注意しないといけません。

賃貸収入の発生するタイミングによって相続財産となるかどうかが変わってくるからです。

 

  • 相続開始前に発生した家賃収入:相続財産になる
  • 相続開始から遺産分割までに発生した家賃収入:法定相続分に従い各相続人に帰属
  • 遺産分割後に発生した家賃収入:賃貸物件を取得した人物に帰属

 

 

その他被相続人由来の財産、権利や義務があり、取り扱いに困ったときは、弁護士に相談することをおすすめします。

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榎本 清Kiyoshi Enomoto / 埼玉弁護士会

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