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婚姻費用分担請求とは 意味と請求のタイミング注意点を解説

別居中の夫婦間では、生活費などの婚姻生活に必要な費用の分担を求めることができます。夫婦や未成熟子の生活を維持するための費用は夫婦で分担する義務がありますし、話し合いでまとまらないときには家庭裁判所の調停や審判を利用することもできます。

当記事ではこの「婚姻費用分担請求」について解説いたします。

婚姻費用分担請求とは何か

婚姻費用とは「夫婦とその間の未成熟子から構成される家族が、資産・収入・社会的地位に応じた通常の生活を維持するのに必要な費用」のことです。

夫婦は互いに協力し扶助する義務を負い、資産や収入に応じてこの費用を分担する義務も負います。

仮に別居していたとしても、離婚が成立するまでは夫婦としての扶助義務は続きますので、収入の少ない側から収入の多い側に対して婚姻費用の分担を求めることができます。

婚姻費用の範囲や決め方

婚姻費用に含まれるのは、生活費、住居費、医療費、子の教育費など、夫婦や子の生活維持に必要な費用全般です。

 

  1. まずは夫婦間で話し合いによる解決を試みる

  2. 話し合いがまとまらない場合は家裁に調停を申し立てる

  3. 調停で合意できなければ審判に移行し裁判官が金額を決定する

  4. 決定した内容は調停調書や審判書として残る

 

話し合いで決まらない場合、家庭裁判所は当事者双方の収入や子の年齢、人数などを基本的な要素とした婚姻費用算定表を参考に、標準的な金額の見通しを示しながら調停を進めます。

請求するタイミングも重要

婚姻費用は、実際に請求を行った時点から認められるのが一般的な考え方です。別居を始めてから婚姻費用の支払いを受けていない期間があっても、調停や審判では、申立てをした時点以降の分から認められる傾向にあります。

たとえば、別居を始めた時点ではしばらく相手からの支払いを期待して待っていたものの、結局支払われないまま数ヶ月経過し、その後に調停を申し立てたとしましょう。
この場合、別居開始時から未払いだった期間の分をまとめて請求できるとは限らず、申立て以降の分に限られる可能性が高くなるという点に注意が必要です。

そのため別居を始めて相手からの支払いが期待できないと分かった時点で、早めに調停の申立てを検討することが重要です。話し合いがまとまらない、あるいは話し合い自体ができない状況であれば、先延ばしにするほど請求できる期間が狭くなるおそれがあります。

調停を始めるのに必要な準備

婚姻費用分担請求調停は、原則として相手方の住所地を管轄する家裁、または当事者が合意した家裁に申し立てます。

申立書のほか、夫婦の戸籍謄本、源泉徴収票や確定申告書の写しなど収入に関する資料が必要です。

 

準備するもの

内容

申立書

裁判所・相手方・申立人用の複数通

戸籍謄本

3ヶ月以内に発行されたもの

収入資料

給与明細、確定申告書の写しなど

費用

収入印紙1,200円と郵便切手

 

調停で合意できないまま話し合いを続けても合意の見込みがない場合、調停は不成立となり、自動的に審判手続に移行。その後の審判では裁判官が収入状況等を踏まえて婚姻費用の金額を決定します。

急いで対応が必要な場合の手段

生活費の支払いが止まり、調停の結果を待つ余裕がないほど生活が困窮しているケースでは、調停前の仮の措置や審判前の保全処分といった手段を利用できることがあります。

審判前の保全処分によって出される仮払いの命令には執行力があり、相手方の給与などを差し押さえることが可能です。

これに対して調停前の仮の措置による支払命令には執行力がなく、従わない場合に一定額の過料の制裁があることで支払いを促す効果を持つに留まります。

どちらの手段を選ぶべきかは生活状況の切迫度によって異なるため、状況に応じた判断が必要です。その判断や手続きのサポートについては弁護士にご依頼いただくことも可能です。

婚姻費用が決まったのに支払われないとき

調停や審判で婚姻費用の金額が決まった後、相手方が支払わない場合には、家裁に履行勧告や履行命令を出してもらうことをご検討ください。履行命令に従わない場合には過料の制裁が科されることがあります。

それでも支払いがない場合には、調停調書や審判書を債務名義として、相手方名義の預貯金や給与を差し押さえる強制執行も可能です。
ただし当事者間で作成しただけの合意書や覚書は債務名義にならないため、話し合いで解決する場合でも、強制執行認諾文言のついた公正証書を作成しておきましょう。

2026年施行の改正法も要チェック

2026年4月1日に施行された改正民法で婚姻費用に関わる変更が行われ、「夫婦間の協力扶助義務に基づく子の監護費用に関して一般の先取特権が新設」されました。

この先取特権により、一定額の範囲で調停調書や公正証書といった債務名義がなくても差押えが可能になりました。

婚姻費用のうち子の監護に関わる部分の履行確保がしやすくなった一方で、対象となる金額には上限があるため、婚姻費用全体を確実に確保するには、やはり調停や審判、公正証書の作成による対応が重要である点は変わりません。

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